自動車製造工場2

エルゴノミクスの観点でロボットを導入し
品質向上と約66%の省人化を実現しました。

作業者の負荷軽減を最優先に考え、エルゴノミクスの原則に基づき、研磨ロボット、「水研磨ロボットツール+ペーパーチェンジツール」の導入を提案しました。この導入により、従来の作業プロセスを根本から見直し、振動障害や柏陵病といった職業病のリスクを低減。同時に、作業品質を向上させ、さらには労働力の必要数を6名から2名に削減するという「省人化」を実現しました。この記事では、その挑戦と成果、そして今後の展望について詳しくご紹介します。
背景と課題について
課題.1
高水準の品質を保ちながらも、担当者による作業品質の不均一性
導入後
高いレベルの品質安定を実現
課題.2
振動工具による作業者に対する労務負荷
導入後
ロボット導入により、作業者の労務負荷が著しく軽減+省人化
導入背景と直面していた具体的課題

自動車製造業界での品質と効率の向上を目指し、エルゴノミクス的観点から作業者の健康を保護する改善策が求められていました。特に、振動工具を使用した研磨・水研作業は、作業者に身体的負担を課し、振動障害や柏陵病などの健康問題を引き起こすリスクがありました。これらの職業病は、作業者の手や腕に持続的な損傷を与え、長期的な健康問題につながることがあります。加えて、研磨紙の手動交換は作業効率を著しく低下させ、生産性の妨げとなっていました。これらの問題に対処するため、作業の自動化と効率化が急務とされていました。

選定と導入
研磨ロボットの導入と「水研磨ロボットツール+ペーパーチェンジツール」の開発設計及び設置

生産効率向上と作業者の負荷軽減、さらには省人化を実現するため、当社では、研磨作業専用のロボット導入と作業効率向上のための「水研磨ロボットツール」開発をご提案させていただきました。

このプロジェクトでは、お客様側で研磨作業用ロボットの選定プロセスを主導しました。複数のモデルと仕様を比較検討し、具体的なニーズに合わせたカスタマイズ可能なソリューションを選択するため、詳細な技術評価とテストを行いました。最終的に、作業精度の高さと効率性を重視し、作業者の負担を減らす機能に優れたロボットが採用されました。

次に、ペーパーチェンジを自動化するツールの開発に取り組みました。このロボットは、研磨紙の交換作業を自動で行うことに特化しており、従来の手作業に比べて大幅な時間削減と効率化を実現します。開発過程では、現場の作業環境を詳しく分析し、それに基づいた設計を進め、最終的にはロボットハンドの開発から設計、製造、設置までを一貫して管理しました。

成果と今後
水研磨ロボットツールとペーパーチェンジ自動化の成果

水研磨ロボットツールとペーパーチェンジ自動化の導入は、自動車製造における生産プロセスの大きな転換点となりました。まず、水研磨ロボットツールの導入により、作業の一貫性が保たれ、高品質な製品が均一且つ効率的に生産されるようになりました。そして製品の品質管理が容易になり生産効率が向上しました。

また、ペーパーチェンジを自動化するツールの開発と導入は、これまで多くの時間と労力を必要としていた研磨紙の交換作業を効率的に改善しました。この自動化により、作業現場の効率が大幅に向上。作業負担が大幅に減少し、より安全で快適な作業環境が提供されるようになりました。

これらの導入効果により、全体の生産性が飛躍的に向上し、作業人数の削減も実現されました。具体的には、ロボット技術によって必要な作業員数を6人から2人へと削減することができ、約66.6%の人員削減が可能となりました。これにより、生産効率のさらなる最適化を図ることができるようになりました。

今後の展望としては、これらのロボット技術をさらに進化させ、他の製造プロセスへの応用を検討しています。また、人工知能(AI)との組み合わせによる自動化のさらなる進展を目指し、予測保全や品質検査など、より複雑なタスクへの適用も視野に入れています。このような技術革新は、製造業の未来を形作り、国際競争力の強化にも寄与することが期待されています。

本事例の内容は2024年4月30日公開当時のものです。
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